診療施設の外装総合改修事例

事前調査で傷みを見極め、屋根・外壁・看板まで一体で改修。

樋と杉板外壁の破損調査から始まり、雨水侵入への備え、屋根・外壁の遮熱塗装、屋根換気、金属サイディング、看板改修まで進めた工事です。調査で分かったことと、実際の施工を順にご紹介します。

むぎ歯科様

外装改修後のむぎ歯科の建物全景 完成
ご相談
樋と杉板外壁の破損状況を調べたい。
行った工事
屋根・外壁の補修と遮熱塗装、屋根換気、杉板部の金属サイディングへの張替え。看板は着工後の発見から追加工事に。
仕上がり
杉板部を木目調の金属サイディングで仕上げ、看板をステンレス箱文字へ交換しました。

北面・施工前

北面・施工後

南面・施工前

南面・施工後

建物概要
愛知県瀬戸市・木造平屋建て
事前調査
2021年9月頃。樋・杉板外壁と、天井裏の見える範囲を調査
屋根・外壁改修
2021年10月着工。屋根・外壁遮熱塗装、屋根換気、シーリング、杉板部を金属サイディングへ張り替え
看板改修
足場設置後に既存カルプ文字の著しい劣化を確認。説明・相談のうえ、ステンレス箱文字へ交換
ガラス交換
外装改修中に熱割れを発見してお客様へご連絡。火災保険の申請に必要な資料・書類を無償で作成し、2021年12月頃にガラスを交換
別途の防犯設備
2024年4月頃。継続してご相談いただく中で、防犯カメラを別途設置

調査で見つけた傷みを、建物全体の改修計画へつなげました

樋と杉板外壁の破損調査から始まり、お預かりした図面をCAD化。寸法・面積と工事範囲を整理して見積をご提示し、受注後に工程表を作成して着工しました。

看板は当初からの計画ではなく、着工して足場を設置した後に著しい劣化が分かったものです。状態と追加費用をご説明・ご相談し、了承をいただいて追加工事へ進みました。以下、調査から施工、その後のお付き合いまでを順にご紹介します。

調査からCAD図面・見積へ。受注後に工程表を作成

まず建物の状態を調べ、図面と数量を整理して見積をご提示。受注してから工程表を作成し、着工へ進みました。

屋根上・地上・天井裏から、樋・杉板外壁と雨漏りの有無を一次調査

調査時期:2021年9月頃

設計図書と周辺地図を確認し、屋根上と地上から目視・触手で調査しました。あわせて天井点検口から天井裏へ入り、流れ方向と桁方向の両方から、見える範囲で雨漏りの形跡がないか確認しました。縦樋の破損位置、杉板の損傷、軒樋の変形や水たまりを写真と報告書に整理しています。杉板破損部の内部は確認できなかったため、見えた事実と未確認範囲を分けて報告しました。

図面をCAD化して数量を整理し、見積をご提示・受注

調査後:CAD図面化 → 見積 → 受注

お預かりした立面図と屋根伏図をもとに、建物形状をCADで図面化しました。各面の寸法、屋根・外壁の面積、施工範囲を整理し、見積数量や工法、納まりを確認する打ち合わせ資料として使用。その内容をもとに見積をご提示し、改修工事をご依頼いただきました。工程表の作成は、この受注後に進めています。

受注後に工程表を作成し、着工・施工中の予定を共有

受注後から完工まで

東伸では、受注後にまず全体の大まかなマスター工程を作成・提出します。実際の施工では、10月分・11月分のように月ごとの工程表で進捗を共有します。天候、作業変更、追加工事などで予定にずれが出た場合は、その都度工程表を作り直し、次の作業を打ち合わせながら完工へ進めます。

工程変更・追加工事について(東伸の一般的な進め方)

以下は、この事例の追加費用を示すものではありません。

足場を設置して初めて分かる劣化や納まりがあり、作業変更・追加工事が生じるケースは珍しくありません。東伸の経験では、追加費用が総工費の7%前後となることがありますが、工事ごとに異なり、必ず発生するものではありません。明らかに可能性が高い場合は事前に説明して予備費を設けることがありますが、不確かな費用を当初見積へ一律に上乗せはしません。追加工事は内容と費用をご説明し、了承をいただいてから進めます。

既存の印象を受け継ぐ、屋根・外壁の色と材料選び

建物の印象を大きく変えず、既存の色合いをできる限り受け継ぐことがご希望でした。経年による風化もあるため、図面や資料を確認し、実物見本もお客様にご覧いただいて色を決定。屋根はクールタイトシリーズの白系、外壁はクールテクト工法、杉板部は木目調金属サイディングで仕上げました。看板の色と配置の検討は、足場設置後に決まった追加工事として、後の看板工程でご紹介します。

現地で木目調金属サイディングの候補色を比較
屋根・外壁用遮熱塗料の標準色見本

遮熱塗装仕様

エスケー化研の遮熱シリーズを採用

屋根用遮熱塗料

クールタイトシリーズ

近赤外線領域の光線を効率よく反射する屋根用遮熱塗料。むぎ歯科様では、白系の色で仕上げました。

外壁用遮熱塗装工法

クールテクト工法

太陽光による外壁の温度上昇を抑える外壁用遮熱塗装工法。建物全体の色調を合わせて仕上げました。

屋根と外壁を、部位に適した遮熱仕様で施工しました。

診療を続けながら着工し、屋根と外壁を改修

足場と通路を整え、下地補修から各部の仕上げへ進めました。足場設置後には看板の劣化も判明し、並行して追加工事の相談を行いました。

着工。患者様と車椅子の通路を確保して足場を設置

着工・足場設置

診療を続けながら工事を進めるため、まず患者様の出入口と車椅子の動線を確認しました。車椅子をご利用の方が通れる幅を確保できる位置に足場の支柱を合わせ、接触のおそれがある箇所には保護材を設置。工事中も診療中であることが道路側から分かるよう、足場へ「診療中」シートを掲示しました。施工前の立面図・屋根伏図と現地写真も突き合わせ、段差が連続する屋根形状や、隣接建物との間が狭い杉板側面を確認したうえで、建物全周へ足場を計画しています。

足場設置後、既存看板を近くで確認して初めて著しい劣化が分かりました。状態と追加費用をお客様へ説明・相談し、了承後に追加工事として対応しています。発見から交換までの写真は、後の工程12でご紹介します。

足場設置後に分かった看板の傷みと、追加工事を見る →

診療を続けながら工事を進めるための配慮

工事中も診療中であることが外から分かるよう、足場へ「診療中」シートを掲示しました。患者様が出入口まで安全に通れる動線を優先し、車椅子をご利用の方が通れる幅を確保できるよう、足場の支柱位置を現地で調整しています。

患者様の通行を優先

工事中も出入口までの通路を確保し、車椅子をご利用の方が通れるよう、足場の支柱位置と接触防止の養生を現地で調整しました。

道路側の外観

道路から建物と看板が見える立地のため、完成後の正面外観と看板の見え方を合わせて検討しました。

建物側面・裏側

隣接建物との間が狭い箇所もあり、足場上から外壁・樋・屋根端部の状態を確認しました。

複数工種の連携

塗装、シーリング、板金、看板、ガラスの作業が重なるため、下地から仕上げまでの順序を整理しました。

高圧洗浄後、外壁の傷みを補修

塗装前

窯業系サイディング外壁の汚れを高圧洗浄で落とし、塗装前にひび割れや傷んだ部分を補修しました。仕上げ塗装だけで隠さず、先に下地を整える工程です。

劣化したシーリングを撤去し、打ち替え

外壁塗装前

作業箇所は、患者様用の出入口ではなく、スタッフさんが出入りするバックヤード側の勝手口動線でした。スタッフさんの通行が多かったため、事前に作業内容を伝えたうえで、シーリングが乾燥するまで不意に触れないよう、通路と施工箇所の見える位置へ「壁・窓枠 シーリング施工中」「衣類に付くと落ちませんのでご注意ください」と掲示して作業しました。窯業系サイディングの目地は、劣化した既存シーリングを撤去。接着を助けるプライマーを塗布し、新しいシーリング材を充填して表面をならしました。雨水が入りやすい目地を、塗装前に整えています。

補修した外壁を遮熱塗装で仕上げる

下地・シーリング完了後

下地補修とシーリング打替えが終わった外壁を、クールテクト工法で仕上げました。ガルバリウム鋼板のKスパン部は凹凸が細かいため、刷毛とローラーを使い分け、塗料のだれを押さえながら時間をかけて丁寧に仕上げました。窯業系サイディング部と金属サイディング部の色調を合わせ、建物全体がまとまって見えるように仕上げています。

金属屋根をケレン・錆止め・中塗り・上塗り

屋根塗装工程

既存のガルバリウム鋼板屋根は、クールタイトシリーズによる白系の遮熱塗装で仕上げました。表面をケレンして塗料が密着しやすい状態に整え、錆止めを施工。その後、中塗りと上塗りを重ね、屋根の山・谷や端部も確認しながら進めています。

屋根面積と建物形状に合わせ、換気棟を選定・設置

屋根工事・暑さ/湿気対策

既存建物は屋根内部に熱気や湿気がこもりやすく、夏場の暑さや木部の湿気対策も必要でした。そこで屋根面積と建物形状に合わせ、ハウゼコ『立平用片流れ換気棟 ベガステップBT 3R』を選定・配置しました。屋根を切開して換気棟を取り付け、雨仕舞いを整えています。屋根と外壁の遮熱塗装に、屋根内部の熱気・湿気を外へ逃がす換気を組み合わせ、建物全体で暑さと湿気へ備えた工事です。

雨風で老朽化した杉板を、釘留め箇所を確認しながら撤去

外壁改修工程

杉板外壁は長年雨風にさらされ、表面が痩せたように老朽化していました。過去の補修とみられる箇所には多数の釘が打たれており、杉板を一枚ずつ剥がすのに非常に手間がかかりました。釘留め箇所を確認しながら慎重に撤去し、調査段階では見られなかった内部の状態に合わせて下地を補修しました。

透湿防水シートを張り、旭トステム外装「Danサイディング」へ

下地補修後

下地を整えた外壁へ透湿防水シートを張り、雨水が内部へ入りにくい層をつくりました。仕上げ材は、表面材にスチール(ガルバリウム鋼板)を使用した厚さ15mmの旭トステム外装『Danサイディング』を採用。現場で寸法に合わせて部材を加工・準備し、柄は『プレシャスウッドⅡ SF』、色は『SWプレシャスミドルブラウンF+』を選び、既存杉板の木目の印象を受け継ぎながら金属サイディングへ張り替えました。

工事中に分かった傷みを相談し、看板・ガラスにも対応

看板は足場設置後の発見から追加工事へ。ガラスも外装改修中に熱割れが見つかり、お客様へご連絡しました。ここでは、それぞれの発見から対応までをまとめています。

足場上で看板の著しい劣化を確認し、相談後にステンレス箱文字へ

足場設置後に発見・相談 → 追加工事として看板を改修

足場を設けて既存のカルプ切り文字を近くで確認すると、スポンジ状の芯材がスカスカになるほど劣化し、文字全体がボロボロの状態でした。劣化部から雨水が入り込む懸念もあったため、状態と追加費用をお客様へ説明して相談。了承をいただいてから既存文字を撤去し、外壁に残った取付穴はリベットでかしめたうえで防水処理を施し、塞ぎました。色見本帳で緑系の候補を比較するとともに、製作用の意匠原稿でロゴ形状と文字組みを確認したうえで、耐久性のあるステンレス箱文字へ交換しています。足場解体前にはメッシュシートを外し、実際の外観で文字の色合いと見え方をお客様に確認していただきました。

作業中に熱割れを発見し、火災保険対応からガラス交換までお手伝い

外装改修中に発見・2021年12月頃交換

外装改修の作業中、ガラスに熱割れが生じていることを発見しました。お客様へご連絡し、火災保険の申請に必要な状況資料と書類を無償で作成。保険対応につながった後、既存ガラスを撤去し、新しいガラスへ交換しました。

外装改修の後も、建物のご相談を継続

防犯カメラは外装改修と同時の工事ではなく、2024年に別途ご依頼いただいたものです。

継続したお付き合いの中で、防犯カメラを別途設置

別途工事:2024年4月頃

防犯カメラは外装改修時ではなく、その後も継続してご相談いただく中で、2024年4月に別途ご依頼いただいた工事です。建物まわりへマスプロ電工(MASPRO)製のワイヤレス防犯カメラを設置し、撮影方向と機器位置を確認しました。

残す・直す・替える・高める。建物を次へつなぐ改修

状態の良い部分と新築時から受け継ぐ価値は、できる限り生かす。傷んだ部分は修繕・復元し、交換が必要な部分は新しい材料へ替える。現在の製品や工法で性能を高められるところは改良します。お客様と優先順位を確認し、ご予算の中で、建物を長く使い続けるための最善の方法をご提案します。

改修相談をご案内する東伸の黒猫

クリニック・施設の改修をご相談ください

診療日程や来院される方の動線に配慮しながら、建物の状態と必要な工事を整理します。